MetaホスティングによるクラウドAPIを使用することで、中規模ビジネスと大規模ビジネスは、多数の顧客とやり取りすることができます。ビジネスは、このAPIを利用して何千人という顧客をエージェントやボットにリンクさせ、プログラムでも手動でもやり取りできるシステムを構築できます。また、このAPIを、CRMなどの多くのバックエンドシステムやマーケティングプラットフォームと統合することもできます。
クラウドAPIはグラフAPI上に構築されているので、リクエストはHTTPプロトコルとURLパラメーター、ヘッダー、リクエスト本文の組み合わせで表現されます。以下は、UNIXベースのコマンドラインからクラウドAPIを呼び出す一般的な例です。
curl 'https://graph.facebook.com/v17.0/106540352242922/messages' \ -H 'Content-Type: application/json' \ -H 'Authorization: Bearer EAAJB...' \ -d ' { "messaging_product": "whatsapp", "recipient_type": "individual", "to": "+16505555555", "type": "text", "text": { "preview_url": true, "body": "Here'\''s the info you requested! https://www.meta.com/quest/quest-3/" } }'
グラフAPIを使い慣れていない場合は、MetaのグラフAPI関連のドキュメントで基礎を学んでください。グラフAPIとクラウドAPIの主な違いは、一般的に使われるアクセストークンのタイプ、リソースのアクセス許可、リクエスト構文、Webhooks構文です。これらの違いについては、クラウドAPI関連の一連のドキュメントの該当するセクションで説明しています。
APIを使用する際にインタラクションする主なリソースを紹介します。
APIを使用するには、ビジネスポートフォリオが必要です。ポートフォリオがない場合は、開始プロセスの一環でポートフォリオの作成が求められます。ビジネスポートフォリオは、WhatsApp Businessアカウント(WABA)とビジネス電話番号のコンテナとして機能します。
ビジネスポートフォリオについて詳しく知りたい方は、ヘルプセンター記事のMeta Business Suiteのビジネスポートフォリオについてをご覧ください。
WhatsApp Businessアカウント(WABA)は、WhatsApp Businessプラットフォーム上のビジネスを表しており、主に特定のビジネスに関するメタデータで構成されています。WhatsApp Business電話番号やWhatsAppメッセージテンプレートなど、他のほとんどのWhatsAppリソースはWABAと関連付けられています。
WABAは、Metaのスタートガイドドキュメントの手順に従って作成できます。WABAおよびその制限について詳しく知りたい場合は、WhatsApp Businessアカウントをご覧ください。
WhatsApp Business電話番号は実際の電話番号を表しており、クラウドAPIで使うために登録すると、WhatsAppユーザーとAPIを介してメッセージを送受信するために使用できます。
ビジネス電話番号は、主に番号自体と運営するビジネスに関するメタデータで構成されています。このメタデータは、ユーザーがビジネス電話番号とやり取りする際に、WhatsAppクライアントに表示されることがあります。
ビジネス電話番号は、Metaスタートガイドドキュメントの手順に従って作成できます。ビジネス電話番号とその用途には制限や制約があります。詳しくは、ビジネス電話番号ドキュメントをご覧ください。
WhatsAppメッセージテンプレート(以下、テンプレート)は、APIでさまざまなテンプレートコンポーネントを使って構築できる、カスタマイズ可能なテンプレートです。作成すると自動的に審査され、承認されるとテンプレートメッセージに利用できるようになります。
APIを介して送信できるメッセージには、フリーフォームメッセージとテンプレートメッセージという2つの基本的なタイプがあります。この2つのうち、テンプレートメッセージでは承認済みのWhatsAppメッセージテンプレートの使用が必須であるため、最も強く制限されています。しかし、テンプレートは使用する前に審査と承認を受ける必要があるため、テンプレートメッセージは受信者から否定的なフィードバックを受ける可能性が低くなります。否定的なフィードバックを受けると、顧客にメッセージを送る機能全体に悪影響が及ぶ可能性があります。
テンプレートについて詳しくは、テンプレートドキュメントを参照してください。
Webhooksとは、HTTPプロトコルを使ってサーバー上の公開エンドポイントに送信されるJSONペイロードのことです。クラウドAPIでは、WhatsAppユーザーからビジネス電話番号に送られるすべてのメッセージのコンテンツはWebhooksとして送信され、発信メッセージの配信状況のアップデートはすべてWebhooks経由で報告されるので、Webhooksにかなり依存していることになります。
Metaでは、Glitchで複製してテストに使えるWebhookアプリのサンプルをご用意しています。このアプリでは、Webhooksのペイロードがコンソールに直接ダンプされるので、コンテンツを確認できます。最終的には、何らかの時点で、自社のビジネスロジックに従ってWebhooksを要約する独自のエンドポイントを自社サーバー上に構築する必要がある点に留意してください。
Webhooksとその要約方法について詳しくは、Meta Webhooksをご覧ください。また、MetaのWhatsApp Businessアカウント用Webhooksドキュメントも参照してください。
スタートガイドドキュメントの手順の初回実行後には、テスト用WABAとテスト用ビジネス電話番号が自動的に作成されます。
テスト用WABAとテスト用電話番号はメッセージ制限をほぼ回避し、支払い方式を登録しなくてもテンプレートメッセージを送信できるので、テストプロセスで役に立ちます。
次の場合には、ビジネスポートフォリオとそのテスト用リソースを削除できます。
以下は、ビジネスポートフォリオとそのテスト用リソースを削除する手順です。
APIでは、次の3種類のトークンを使用できます。
使用するトークンのタイプを判断する際には、アクセストークンを参考にしてください。トークンは、クエリ文字列パラメーターではなく、リクエストヘッダー経由で渡す必要がある点にご注意ください。
APIは、次のグラフAPIのアクセス許可に依存しています。アプリが必要とするアクセス許可の正確な組み合わせは、アプリがどのエンドポイントにアクセスするかによって異なります。
これらのアクセス許可は通常、Meta Business Suiteでアクセストークンを生成する際に付与されます。アクセストークンドキュメントのトークン生成セクションをご覧ください。
バージョン管理は、グラフAPIのバージョン管理プロトコルを使用します。つまり、すべてのエンドポイントリクエストにバージョン番号を含めることができ、各バージョンは約2年間の利用期間が過ぎると廃止され呼び出せなくなります。
登録されたビジネスの電話番号それぞれに対して、クラウドAPIはデフォルトでは最大80メッセージ毎秒(mps)をサポートし、自動アップグレードによって最大1,000 mpsまでサポートします。
スループットには、受信メッセージと送信メッセージ、そしてすべてのメッセージタイプが含まれます。ビジネスの電話番号には、スループットに関わらず、WhatsApp Businessアカウントのビジネスユースケースのレート制限およびテンプレートメッセージの制限が課されます。
現在のスループットレベルで許可されている以上のメッセージを送信しようとすると、許可されるレベル内に再び戻るまで、APIはエラーコード 130429
を返します。また、スループットレベルは、さまざまなWhatsAppユーザーの電話番号を含むメッセージキャンペーンを対象としています。同じWhatsAppユーザー番号に対してあまりにも多くのメッセージを送信しようとすると、ペアレート制限エラーが発生する可能性があります。
Metaが設定した利用資格を満たしている場合、追加負担なしで自動的にビジネス電話番号を1,000 mpsにアップグレードします。より高いスループットで、追加料金が発生したり価格に影響したりすることはありません。
アップグレードプロセス自体は最大で1分かかります。この間、Metaのプラットフォームでその番号を使用することはできなくなります。APIリクエストで使用すると、APIはエラーコード 131057
を返します。ビジネスの電話番号が一度アップグレードされると、それ以降のスループットの増加は、ダウンタイムなしで自動的にアップグレードされるようになります。
使用するWebhooksサーバーは、送信メッセージのキャパシティの3倍と、予想される受信メッセージトラフィックのキャパシティ(1倍)に耐えられる必要があります。例えば、送信が1,000mpsで予想される返信率が30%である場合、サーバーは最大3000のメッセージステータスWebhooksと、300の受信メッセージWebhooksを処理できなければなりません。
複数のWebhooks配信が同時に行われるため、次の遅延標準で同時リクエストを処理できるよう、Webhooksサーバーを設定して負荷テストするようおすすめします。
失敗したWebhooksは、指数バックオフを使って、最大7日間再配信が試行されます。
より高スループットをフルに活用するには、自社のサーバーでアセットをホスティングしてメディアアセットURLを使うのではなく、Metaのサーバーにメディアアセットをアップロードし、返されるメディアIDをメディアメッセージで使うことをおすすめします。自社のサーバーでアセットをホスティングすることを希望する(または必要とする)場合、メディアキャッシュを使うことをおすすめします。
WhatsApp Business電話番号エンドポイントを使って、電話番号の現在のスループットレベルを取得します。
GET /<WHATSAPP_BUSINESS_PHONE_NUMBER_ID>?fields=throughput
オンプレミスAPIからクラウドAPIへの複数のシャードを実行しているマルチコネクトがあるビジネス電話番号の移行を行う場合、自動的にアップグレードされ、スループットがさらに高くなります。
WhatsApp BusinessマネジメントAPIのレート制限をご覧ください。
こうしたレート制限に加えて、テンプレートメッセージやビジネス電話番号のテストなど、個々のリソースにも次のような細かな制限があります。
クラウドAPIユーザーは、送信メッセージ数や配信メッセージ数などの指標を見ることができます。詳しくは、アカウントの指標の取得をご覧ください。
Metaのインフラストラクチャ内でクラウドAPIは、レート制限(メッセージ量とWABAの数)内でワークロードを処理するため自動的にスケーリングされて調整されます。
詳しくは、プライバシーとセキュリティの概要をご覧ください。
クラウドAPIを使うことにより、すべてのWhatsAppメッセージは引き続きシグナルプロトコル暗号化により保護されます。それにより、メッセージはデバイスを離れる前にセキュリティ確保されます。つまり、WABAとやり取りするメッセージは、各ビジネスが選択する送信先にセキュリティ保護された状態で送信されます。
クラウドAPIは、業界標準の暗号化技術を使って、伝送時と保管時のデータを保護しています。APIは、メッセージの送信にグラフAPI、イベントの受信にWebhooksを使っており、そのいずれもTLSによって保護されている業界標準のHTTPSを通じて行われます。詳しくは、暗号化の概要に関するMetaのホワイトペーパーをご覧ください。
詳しくは、暗号化概要に関するホワイトペーパーをご覧ください。
ビジネス電話番号から同じWhatsAppユーザー電話番号に送信するメッセージ数には、6秒間に1メッセージ(0.17メッセージ/秒)までという制限があります。これは、ほぼ1分あたり10メッセージ、または1時間あたり600メッセージに相当します。この上限を超えると、再度上限を下回るようになるまで、APIからエラーコード131056
が返されます。
必要なら、6秒間に45通のメッセージをバースト送信することができます。バースト送信する場合、基本的にペアレート制限に反して前借りすることになるため、その後、同じ数の「非バースト」メッセージをユーザーに送るのに通常ならかかるはずの時間が経過するまで、同じユーザーにメッセージを送信することはできません。例えば、ユーザーに「非バースト」メッセージを20件送るには2分近くかかるので、20通のバーストメッセージを送ると、ユーザーに別のメッセージを送れるようになるまで2分近く待たなければなりません。
バーストメッセージ後の待ち時間の計算処理を回避するため、バースト送信後にメッセージ送信リクエストが失敗した場合は、まずX = 0として4^X秒後に再試行し、リクエストが成功するまで、失敗するごとにXを1ずつ増やしていくことをおすすめします。
WhatsAppマネージャは、WABA、ビジネス電話番号、テンプレートなどのWhatsAppのリソースを手動で管理するためにMetaから提供されているウェブアプリです。これを利用すれば、それらのリソースに関するインサイトや品質評価、あるいは制限について知ることができます。WhatsAppマネージャが提供する機能の大半は、少数の例外を除き、APIでも利用可能です。
WhatsAppマネージャには、以下の複数の方法でアクセスできます。どちらの方法も、スタートガイドドキュメントで示されている手順を実行済みであることを前提としています。
以下のURLから[WhatsAppマネージャの概要]に直接移動できます。そこには、所定のビジネスポートフォリオが所有する(または共有を受けている) WABAがすべて表示されます。
デフォルトで、この概要に、直近で作成したWABA、または直近でアクセス権が付与されたWABAが読み込まれます。また、左側のドロップダウンメニューを使ってアクセスしたいWABAが入っているビジネスポートフォリオを選択することもできます。しかし、そうすると概要から離れてしまうため、左側のメニューを使って[アカウント] > [WhatsAppアカウント] > (対象のWABAを選択) > [設定] > [WhatsAppマネージャ] (ボタン)と移動する必要があります。
あるいは、ビジネスポートフォリオが複数ある場合は、次のようにアカウントのIDをURLの末尾に付加して、ブックマークとして登録すると、簡単にアクセスできるようになります。
https://business.facebook.com/wa/manage/home/?business_id=<META_BUSINESS_ACCOUNT_ID>
WhatsApp Businessプラットフォームワークスペースには、よくある問い合わせを収めたクラウドAPI Postmanコレクションが用意されています。